省エネにつながる建物の形や位置関係、仕様の工夫を見ていきましょう。
日射調整
外から建物に干渉したり、入ってくる光や熱エネルギーを初期段階で遮断・調整する方法について。
建物の外部で遮断することで、冷暖房の負荷を抑え節電にも繋がっていくので家を建てる際の参考になります。デザインだけじゃない効果があることを知ってもらえると嬉しいです。
今回は省エネの中でも日射調整ができる以下の4つを取り上げます。
- 庇
- ルーバー
- 屋上緑化・壁面緑化
- エアーフローウィンドウ
庇(ひさし)
庇とは、扉や窓の外側にある小屋根のことで、縁側にもついていることがあります。
最近は庇がない家も増えてきていますが、庇は上手に利用すると省エネの味方になります。
- 太陽高度が高い夏は直射日光を遮る
→熱エネルギー流入の抑制で冷房負荷の軽減に - 太陽高度が低い冬は遮らず室内に暖かい光をそのまま入れられる
→熱エネルギーの有効利用で暖房負荷の軽減に
この熱エネルギー利用の使い分けを意識すると庇は壁から90㎝程度、飛び出ているのが理想です。
日本の北側に位置するのか南側に位置するのかで太陽高度に差はありますが、庇が30㎝程度しか出ていないと、雨除けにはなりますが真夏の直射日光を止めるには頼りないでしょう。
ルーバー
庇と同じく日射の遮蔽に有効なのがルーバーです。
メリット
- 可動式タイプも多く、時間や天気に応じて調整が簡単
- 視線を遮ることも可能
- 日射、視線を遮りつつ換気もできる
- 人が通れない幅寸法の場合、防犯性が高い
デメリット
- 通常サッシに比べ割高
- 掃除に手間がかかる
種類
雨除けだけでなく上からの日差しを遮るのが庇でしたが、
ルーバーは少し異なり、設置する方角で使い分けができます。
- 南側(太陽高度が高いので日差しが上から降り注ぐ)
横向きの水平ルーバーが向いている
※庇も水平なので、同じ効果 - 西側(太陽高度が低く、西日と呼ばれる横からの日射が強い)
鉛直の縦型ルーバーが向いている
外周の緑化
屋上緑化・外壁緑化。屋上やバルコニーに植物を設けたり、外壁に葉を伝わせる方法こと。
メリット
- 直射日光を遮る
- 葉や土の表面から水分が蒸発するときに、周囲の温度を下げる
- 屋上緑化の場合、土の部分が断熱材としての働き・効果が期待できる
- 植物の光合成により、二酸化炭素などの温室効果ガスを吸収
- 空地が少なく土地が限られてた都心部にも、緑地を増やすことができる
デメリット
- 壁面や屋上に設ける場合、高コストになりやすい
- 壁面は特にデザイン性にも影響を与えるため、マメな手入れが必要
屋上緑化、壁面緑化まではできない場合も、バルコニーや窓際に植物を置くだけでも効果はあります。
屋上庭園を設計する場合、植物の根による防水層の破損への対策が必要。
屋上緑化における雨水の排出計画も、通常の屋上防水工事以上に確認すること。
エアフローウィンドウ
エアフローウィンドウとは、二重サッシの間に自動制御ブラインドを設置し機械によって空気の流れを起こす窓のことです。
※これは住宅ではあまり見ませんが紹介します。
外気負荷を受け、室内と温度差のある空気を機械によって排出・再利用する仕組み。
- 夏場は外気へ排出
- 冬場は暖房設備へ再利用
これはペリメータゾーンの温熱環境改善方法の1つです。
※自動制御ブラインドによって、太陽の向きに合わせて効率的に外気負荷を調整できますが建設時のコストがかかります。
また機械が付いている点とオリジナルな窓になるため
建物の増築・改修工事の際には厄介です。
ですが建物や窓が大きくなるとその分、省エネ効果も大きくなるためオフィスやビルで多く利用されています。
エアフローウィンドウは「窓ガラス-ブラインド-窓ガラス」になっており2枚のガラスの間に空気を通しますが、
従来の方式で二重サッシではなく「窓ガラスーブラインド」の間に空気を流すエアバリアという方法もあります。
おわりに
今回は省エネをテーマに日射調整の工夫についてみていきました。
- 庇
- ルーバー
- 屋上緑化・壁面緑化
- エアーフローウィンドウ
建物の中での快適な環境づくりについてはこちらで解説しています。
最近寒くなってきたので、読むと参考になると思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
それではまた次回お会いしましょう。